絵本でつなぐ震災の記憶

今回インタビューをさせて頂いたのは静岡大学で地域創造について学ばれているふたば未来学園高等学校4期生の吉田智美さんです。

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名前:吉田智美(よしだ ともみ)

進学先:静岡大学 地域創造学環

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○探究はどのような内容ですか?

2年生の時、福島のイメージが震災で記憶が止まっている場合と復興している所が更新されている場合があり疑問を感じました。震災によって被害を受けたのにあまり人に知られていない分野を知ってもらうために活動を行いました。最初に震災時の動物保護の現状を知るためにボランティアやインタビューをしました。次に、同年代と廃炉について考える廃炉国際フォーラムに参加しました。そこで、震災の記憶の風化を感じ、そこから震災の記憶を若い世代に伝える活動に変更し、富岡3.11を語る会さんの協力の下ツアーの見学を重ねました。コロナをきっかけに計画していたツアーが難しくなり、絵本という形で子供達に偏見・差別について伝えていく活動を始めました。あくまでも偏見・差別は災害時に起きるものではなく日常に潜んでいて、その問題に目を向けていくことで心の災害を減らすことができると考えたました。絵本は、絵とプロット両方を自分たちで作成し地域内外の方の意見をもらいながら作成しました。

 ○探究を進める中でどのような活動を行いましたか?

・福島市にある動物保護センターでボランティア活動と震災時の動物保護についてのインタビュー

・廃炉国際フォーラム

・富岡3.11を語る会のツアー参加

・U25東北リーダーズカンファレンスに参加

・多賀城サミット

・絵本作成  などです。

○どのような結果が分かりましたか?

・震災の風化は確実に起きているということです。廃炉国際フォーラムで出会った同年代の友達は復興様子を面白おかしく報道するべきと言っていていました。また、震災の話を聞く機会があっても、語り部の多くが高齢者であるためどこか非現実的な話に聞こえてしまい自分事にできていないことがあげられる為、ふたば未来生だとそういう学習する機会が多くあるが他校だとなかなかなくそのギャップが年々大きくなっているように感じました。だからこそ探究活動を他校の同年代に伝えることは必要であるし、それを知ってくれた人が広げていくことが理想だと思いました。

・今があるのは、活動ができたのは数え切れないほどの人がいたから

絵本を制作したときや2年生の時に聞いた話も含めて、多くの人がそれぞれ震災を乗り越えて苦しいはずなのに前を向いているということを実感することが多くあった。自分が活動する中でアドバイスをしてくれた人、話を聞いてくれた人、活動に協力してくれた人にすごく恵まれていたと大学生になってつくづく感じる。高校生活の探究があるからこそ今大学で学ぶことが楽しくて、これから地元に還元していきたいとすごく想う。いろんな支えがあったからこそ、もっと頑張りたい・一緒に地域で活動したいと想えるし、この進路に進んでいなかった。

 ○探究を行う中で何か問題点はありましたか?またその問題への解決策を教えてください

探究を行う上での問題点は

3年生から始めた絵本活動はとにかくやりたいことは多くあるのに時間が足りなかった事です。

改善点としては

・探究の時間で何をするのか事前に話し合って時間の有効活用を行った。

・探究の時間だけでは足りなかったから放課後や電話しながら決めていった

→探究の時間外で作業するときは必ず終わる時間と何をするか明確を決めてやった(受験生だったから部活、進路活動や勉強に影響しないように)

・一つの行程が終わったら人に見せる

→特にプロットづくりは一回できるごとに見てもらってアドバイス・改善点を聞いた。聞いた上で自分たちの方向とどこがずれているのかを確認した。などです。

○自分の探究を振り返って良かったこと悪かったことは何ですか?

良かったこと

・積極的に学校外の活動に参加したこと

→ 一人でも気になったイベントとかには参加する事によって沢山の人から刺激をもらいました。いろんな考えをもった人と交流することで、気づけなかったことや新たに発見した疑問点、行き詰まっていたときのヒントを得ルことができました。

・人に頼れたこと

→ 今まで出会った人に主にFace bookを通じてアドバイスを呼びかけたり協力を頼んだお陰で新しい出会いがあったり、知らなかったことも学べました。特に絵本作りの時は絵の描き方やプロットの作り方など分からないことだらけで自分たちだけではとてもではないが完成しなかったと思います。

悪かったところ

・優先順位の付け方

→ 探究のこともそうだけれど、部活とか勉強が忙しいときに何から手をつければいいのか迷って結局全部中途半端になってしまうことがあったので、一回失敗してから細かく期限を決めることで時間の有効活用をする事ができました。

・自分だけで突っ走ってしまったこと

二人でやっているとどうしても起きてしまうことなのですが、作業分担しても自分の考えだけで進めかけた時がありました。しかし、あくまでも、二人で行っている活動なのでたとえ作業を分担しても相手の意見もきいたり進捗情報の共有を行うことで助け合い、何が足りないのか気づいて先回りして行動できたなと想う時もありました。

○探究を進めていく中で大変だったことはありましたか?

期限のうちに終わらせることです。

特にプロット作成するときに対象年齢が小学生の絵本をつくっていたため、どの表現が一番伝わるかを考えることが難しかったです。納得するまで表現を考えては修正するから期限内にこれ!という表現が見つからず焦ったこともありました。小学生向けの絵本を作ろうとしたときにコロナで小学校に行けず、どういう話の構成にしたらわかりやすいかなどわからなかった為、そのため学校の図書館で対象年齢が同じ絵本を探して読み、伝承系の絵本を探して勉強をしました。ただ、自分たちが伝えたいことが小学生に対して難しくないか一番伝えたい部分はどこなのか絞る作業が地味につらかったです。

○どのようなきっかけで探究が進みましたか?

2年生の最後にニューヨーク研修に参加するための準備をしていた時に、復興とは何か、なんで震災の記憶が生かされず災害の被害が抑えられないのかという議題について話し合いました。今まで私達は防災の意識を全員同じ所まであげることが正しいと思っていましたが、一人ひとりそれぞれ意識の差が当然あり、同じにすることは違うことに気がつきました。そして防災意識を少しでも上位にあげることが本当に必要なことであると分かりました。今回のコロナによって差別・偏見の被害のニュースが震災の時と同じように見えました。なぜ同じことが起きてしまうのか考えたときに教訓が習慣化されていないことに気がつきました。一人一人の防災の意識を上げるためにはまずは習慣化を目指す必要があったのだと気づきました。

○この経験は今どのように生かされていますか?

探究を通して様々な人と出会い、地域内外の方と話す機会を通してこのまま高校で終わっていいのかという気持ちが芽生え、目の前の問題を自分も協力しながら大好きな地元を変えていきたいと思うようになり、2年生の後半には進路を変更しました。大学もカタリ場のスタッフさんと一緒になって地域で活動するノウハウを学びながら多方面の知識を吸収できる今の大学を選日ました。探究がなかったら絶対にこの道は選んでなかったし、地域について学ぼうとも思わなかったので探究のお陰で一番何がしたいのか気づけました。

○探究を振り返って今ならどうしますか?

コロナで自粛していた時から何ができるのか考えてできることから行動したいと思っていました。自粛中は今までやっていた活動ができるか今と違う活動に切り替えていいのかと長い時間迷っていました。やっと具体的な活動ができる時期に差し掛かっていたのでコロナによってうまくいかずどうせできないと自暴自棄になりかけた時が一瞬ありました。でも、今思えば絵本の案が出たのは私と同じ様にコロナによって活動が難しくなった友達との会話がスタートでした。だから、ちょっとつまったら誰かと話したり、本を見る事でも大きく変わってくると思います。

ちなみに探究活動は春休みまでやりました。すごく楽しかったし何よりその時だからできたことがあってそれを全力でやりきって大学に入学したのであんまり後悔していません。やりたいことやったもん勝ちと思うのでそうしないと後から後悔して探究自体に嫌気がさしてしまうと思うので、やって失敗しても解決策を見つければいいけれど、やらないで後悔したらその時しかできなかったんだから一生後悔すると思います。

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